千歳空港で警察の反テロ「外人狩り」職務質問(録音と脚本)

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Handbook for Newcomers, Migrants, and Immigrants to Japan\Foreign Residents and Naturalized Citizens Association forming NGO\「ジャパニーズ・オンリー 小樽入浴拒否問題と人種差別」(明石書店)JAPANESE ONLY:  The Otaru Hot Springs Case and Racial Discrimination in Japan

2008年6月21日発行
転送歓迎
皆様こんばんは。有道 出人です。いつもお世話になっております。

さて、G8サミットが迫って、「反テロ措置」もいよいよ多く実施されるようになってきました。しかし、その結果、「テロリスト」は「白人・外人」の外見だけで標的にされております。

 道内では、色々な警察署が発行した「警戒警備にご協力下さい」というポスターやチラシが現れてきました。

5月から、札幌市内の地下鉄・JR駅や自動販売機の中で見られるポスターはここでご覧下さい。

https://www.debito.org/?p=1721

6月13日(金)サミットから700キロ以上離れている、単に外国人が多い六本木で麻生警察署に配布された「職務質問・検問の実施に、ご協力下さい」と載っているチラシはここでご覧下さい。

https://www.debito.org/?p=1749

 しかし公表に留まっておりません。道内空港(少なくとも新千歳と女満別)では、外国人みたいな人のみが、飛行機からおりて荷物を受け取って「セキュリティー・ゾーン」から出ても、私服警官に呼び止められ職務質問と身分証明が要求されています。到着する人を出迎える外国人みたいな住民もそうなっているようです(千歳空港6月20日JAL3047、20時20分着)。

 私も、東京の帰り、6月19日(木)の午後3:12頃、新千歳空港で白人として、こういう目に遭いました。録音はこちらです。(およそ4分間)

https://www.debito.org/chitosekeisatsu080619edit.mp3

脚本は以降の通り:

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有道 出人:はい、こんにちは。

大友北海道警察官:すみませんね、お忙しいところ。日本語は大丈夫でした?

有道:大丈夫です。

大友:北海道警察なんですけど。G8サミットの関係ですね、外国人登録証の提示をお願いしていまして。

有道:あ、はい。外国人じゃないです。

大友:あ、そうですか。

有道:そうです。日本人です。

大友:永住されているんか。

有道:日本人です。

大友:あ、そうですか。ハーフは何かですか。

有道:日本人です。

大友:免許証か何かをお持ちでは?

有道:なぜですか。

大友:すみません、ちょっと、こちらの方へ。

有道:私は列車に載りたいんですけど。

大友:外国の方ですか。

有道:いや、日本人です。

大友:お持ちではなかったですか。

有道:何がですか。

大友:免許証か何か。

有道:なぜですか。

大友:身分を証明するものはありました?

有道:なぜですか。

大友:皆さんはちょっと確認させてもらっていまして。

有道:えーと、すみませんが、ずっと見ていたんですけれども、一人も、今までは確認しなかったですね。

大友:今まで。

有道:ええ。色んな人たちが出たんですけど、僕だけ確認しているんですけど。なんですよね。

大友:すみません。外国の方に見えたものですから。

有道:悪いですけど、外国人じゃないです。

大友:あ、そうですか。はい、分かりました。

有道:はい。いいですか。

大友:すみません、何度も、こちらに来られますか。今後もですね、7月9日までこういう活動はしていますので、僕らはまた声を掛ける可能性があるんで。

有道:ありますよね。

大友:気を悪くしないで下さい。

有道:まあ、そういうことであればいいですけど、説明して下さい。そして、白人だけか外国人に見える人だけを標的にしないで下さい。

大友:はい、分かりました。

有道:いいですか。

大友:どうもすみません。

有道:お名前を聞いていいですか。

大友:大友です。

有道:大友さん。はい、そして北海道警察の大友さんですか。

大友:はい。身分を証明するものをーー

有道:はい、番号はいいですか。522874です。ありがとうございました。どうもすみませんでした。

大友:免許証の方をお願いしてもよろしいですか。

有道:えー、なぜですか。

大友:すみません、お名前聞いておいてもよろしいですか。

有道:北海道情報大学准教授の有道 出人と申します。

大友:助教授ですか。

有道:准教授です。

大友:そうですか。いま、どちらかの方に行って戻ってきたところですか。

有道:いいですか。ちょっと列車の方へ行って。

大友:札幌のほうですね。

有道:いいですか。

大友:分かりました。

有道:他の人を職務質問をしていないんですよね。

大友:はい。

有道:もし、僕からの協力が欲しければ、アジア系3人くらい、職務質問をして下さい。そういうことをしていただければ協力します。どうですか。

大友:分かりました。こちらの方にお待ちになってもらってよろしいですか。

有道:分かりました。じゃあ、アジア系の人たち、どうぞ。

(20秒くらい、大友氏は日本人の中年男性ビジネスマンを呼び止め職務質問をしようとするが、相手方は協力を断る。)

有道:ということで、提示しませんでしたね。

大友:はい、そうですね。すみません。

有道:まあ、職務執行法では、提示する必要はないですよね。そうでしょう、大友さん。

大友:はい。

有道:だから、彼も提示しなくてもいいなら、僕も提示しなくてもいいですよね。

大友:今まで何度も声がかけられてました?

有道:まあ、僕は帰化した日本人なんですので、何回も白人として警察に色んな扱いーー

大友:今まで、嫌な思いはされているということですね、今まで、何度も。

有道:ま、何回もそうなんですよ。

大友:分かりました。いや、今まで、なんとか、あのう、教授の方で、こう、僕が声を掛けた場合、あのう、警職法の提示、こういうことがありますというの、提示された方がいまして。そういうのは分かっているんですけど。それでは、うちら、すみません、仕事のもんですから、サミットまでこういう活動はしているんですよ。

有道:はい。但し、白人だけか外国人に見える人だけを標的しないで下さい。それはレイシャル・プロファイリング(racial profiling)なんですので、人種差別の一種だと言われるかもしれません。

大友:今まで何度も言われますんで。「人種差別」「人種差別」と言われているんですけれども。

有道:嫌ですよね。

大友:僕らも、そこまで、そういう気持ちはないんですけども。で、今までやっていたわけじゃないんで、今までこうやって継続的にここでやっているでしたら理解されると思うんですけれども。6月になってからサミットが近付いてからいきなり始めているんで、なかなか理解されない場合も。

有道:出来ませんよ。だって、考えてみて下さい。今までのテロは日本人に全部催されたんですよ。オウム心理教から赤軍とか、全部ですよ。ですからね、なんで外国人みたいな人だけ標的されているんですか、ということなんですよね。

大友:すみません、申し訳ないんです。

有道:とんでもないんです。

大友:札幌行き、19分に乗るんですよね。

有道:まあ、出来ればね。はい。いいですか。

大友:15分のもんなんですから、時間ギリギリなんですけども。まあ、気を付けて。

有道:分かりました。

大友:またですね、声をかける場合があるかもしれません、僕以外の者もいるんで、ちょっと、気を悪くしないでもらえます?

有道:頑張ります。(笑)

大友:いや、前も言われたんですよ。「今まで日本を愛していたのに、こんなことになって、日本が嫌いだ」とか、というのがあったんです。

有道:ほー、そうなんですか。

大友:そういう人もいらっしゃるもんですから。僕らも悪気があってやっているわけではないんです。

有道:お仕事だと分かります。

大友:申し訳ないですけども。

有道:とんでもないです。反テロ措置として、頑張って下さい。

大友:この活動は、サミット終了時までやっていますのでーー

有道:楽しみにしています。

大友:他の空港に行ってもですね、北海道内までーー

有道:女満別も同じだとも聞きました。

大友:あ、そうですか。いや、申し訳ないんです、気を付けて、お帰り下さい。

有道:ありがとうございます。どうもすみませんでした。では、失礼します。

以上

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(録音残りの3分間では、英語で、私のみではなく同空便に乗ったオーストラリア人3人グループは白人だから同様に職務質問とパスポートチェックがあったと認める。「差別だった」と感じたことも認める。)

(その私服警官のロビーで待機している姿、他人にも呼び止めをしない姿は携帯スナップが私のブログにも載っています)

(大友さんは黒い上着です。最後の写真で分かるのは、アジア系の乗客が出てきても、監視する姿は変わりません。はるかに「外国人風」の人だけを探しています、)

 列車に乗り損なったものの、私は運がよく、非常に良心的な警察官に合いました。だが、こう丁寧に対応しない警察官もいるということで、憤りを感じる外国人住民も少なくはないようで(大友氏はそう認めました)。

 日本政府もこれから移民について本格的に考えるようになっているので、少なくとも、我が国の国家公務員は人種や外見だけで「テロ扱い」から卒業できませんか。2002年のサッカーW杯の「フーリガン対策」の元で、いかに外国人住民にとって迷惑となったのは意識していませんか。

https://www.debito.org/susukinosign.html

 テロリストは来るなら、そう簡単に目立ちません。

 宜しくお願い致します。有道 出人

debito@debito.org

www.debito.org

2008年6月21日発行

転送歓迎

4 comments on “千歳空港で警察の反テロ「外人狩り」職務質問(録音と脚本)

  • Mark in Yayoi says:

    Carl Bingefors mentions the use of polite language, but did anyone notice in the Japanese transcript that Mr. Ohtomo said “sasete moratte” (ちょっと確認させてもらっていまして) for checking the IDs of foreign-looking people?

    This is one of those phrases that makes language mavens and purists cringe — it inevitably appears in books instructing young company employees to not misuse keigo (polite language) — and had I been in Debito’s position, it would have driven me right over the edge.

    Roughly translated as “humbly being forced [by the listener] to do…”, it implies that what the speaker is doing is to the benefit of the listener, if not directly requested by the listener. To use it when doing something that the listener actively does not want is a faux pas and comes off as arrogant and rude.

    (In fairness to Mr. Ohtomo, he surely never considered this as many people use this phrase without thinking deeply it at all.)

    One of my professors, who’s been analyzing his native Japanese from every angle for decades, makes a point of calling people out when they do that. Last time I was in an airport, he was with me, and I hope he’s there to give the police a haranguing next time I end up in this situation!

    Reply
  • > 有道:もし、僕からの協力が欲しければ、アジア系3人くらい、職務質問をして下さい。そういうことをしていただければ協力します。どうですか。

    アジア系とは系の定義が曖昧だが、アジア人種の日本国籍保持者のことか、アジ
    アの国の国籍保持者のことか。前者であれば有道氏こそ人種差別主義者ですね。

    > 有道:まあ、僕は帰化した日本人なんですので、何回も白人として警察に色んな扱いーー
    > 有道:出来ませんよ。だって、考えてみて下さい。今までのテロは日本人に全部催されたんですよ。オウム心理教から赤軍とか、全部ですよ。ですからね、なんで外国人みたいな人だけ標的されているんですか、ということなんですよね。

    ↑今までの日本国内のテロは全部日本人が行った、外国人みたいな人だけ標的さ
    れてされているんですか

    職務質問だとか法的根拠以前に警察業務に協力するのは義務だと思いますが。
    それにこれは職務質問ですか?強い調子で呼び止めているとも見れません。
    雑談程度の任意の質問ではないのですか?

    Reply
  • Mark in Yayoi says:

    道民さん、警察業務に協力するのは決して義務ではありません。警察官職務執行法によると、警察が止めて質問出来る者は犯罪を犯した・犯そうとすると思われる人などに限られ、なお「最小の限度において用いるべき」なのです。

    (参照:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO136.html )

    「任意」、「雑談」と言っても、有道さんの答えによって「交番へ行かされる、または逮捕される可能性があります。あの「日本人らしい」ビジネスマンが大友氏を無視して去って行ったようですが、出人さんのような「白人系」の日本人が同じようなこと使用としたら、警察はどうしたと思いますか?ビジネスマンに対して、出人さんの場合は、大友氏に「日本人です」とはっきり言った後でも、大友が数回身分証明を頼みました。

    酷い事件ではないのは確かですが、これでも差別なんです。北海道警察本部へのクレームはまったくおかしくありません。

    Reply
  • > アジア系とは系の定義が曖昧だが、アジア人種の日本国籍保持者のことか、アジ
    アの国の国籍保持者のことか。前者であれば有道氏こそ人種差別主義者ですね。

    国籍に関係なく、外見がアジア人、の事でしょうね。有道氏は、北海道警察が「外見が外国人風」(たとえば、白人種)の人だけを標的にしている事を証明するために「外見が日本人」の意味合いであえて「アジア系」という言葉を使ったのでしょう。 (もちろん、日本人の大部分は、アジア系です。) 

    「外見が日本人」の日系アメリカ人、極東ロシア人、日本人の大部分のアジア系日本人などのアジア人種がスルーで「外見が外国人」だけのことで白人系日本人が警察に身分証明の提示を求められるという事は、立派な「人種」差別です。

    > 職務質問だとか法的根拠以前に警察業務に協力するのは義務だと思いますが。

    「法的根拠なしの警察業務」に協力するのは義務ですか? 

    > それにこれは職務質問ですか?強い調子で呼び止めているとも見れません。
    雑談程度の任意の質問ではないのですか?

    おっしゃるとおりです。不審な点が認められない通行人に身分証明書の提示を求めるのは警職法に当たる「職務質問」ではありません。対象を絞り込むことなく無差別に行う一斉検問という手もあります。しかし「外見が外国人」の人だけを対象にすること、それこそが問題なのです。有道氏が指摘する通り、これまで日本で発生したテロ事件はすべて「外見が日本人の」日本人の仕業なのです。

    もちろん、反テロ措置は重大な課題です。しかし日本が法治国家である以上、これを有効的に、法的に問題ない様に行うのが、警察の本来の仕事です。

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